何から書いたらいいのか、うまくまとまらないけど、とりあえず書いていきますね～♪
ここで紹介するのは ONE WAY 看板チワワの JKC.CH 愛ちゃんに凍結(冷凍)精子を使って交配した時の記録です。

この時、愛ちゃんに交配したいと思っていた交配相手は日本国外に暮らしている男の子でした。
まずは海外の友人にオスのオーナーを調べてもらい、直接連絡先を教えてもらう所からのスタートでした。
日本では冷凍精子を使った繁殖(交配)は最近になって取り入れられたものですがアメリカではわりとポピュラーな繁殖方法のひとつです。
そのお陰で今回交配に使いたかったオスの冷凍精子が精子バンクにあるとの事♪
エージェントを介して購入する準備を始める事にしました^^

まずは必要書類の確認と交配料の海外送金から。
精子の輸入は検疫が必要になる為、手続きがたくさん必要でした。
しかも冷凍精子なので－196℃の液体窒素で保管された専用のタンクで輸送しなくちゃいけないので航空会社への貨物依頼も大変だとか…。
そこら辺は冷凍精子の輸入代行業者を利用したので私は苦労せずに輸入する事が出来ました♪

これが液体窒素を入れて凍結精子を輸送するタンクです。
実は他犬種のお友達たちが冷凍精子を輸入するタイミングでタンクに空きがある、と教えてくれたので便乗させていただいたんです♪みなさんありがとうございました(^^)

アメリカで精子の輸出許可をもらう為にUSDAへ行ってもらうだけで、かなりのトラブルがあり、予定の飛行機に搭載出来なかったりとドタバタな輸入でしたが、専門のスタッフがアメリカまで精子を取りに渡米してくれていたお陰で無事に輸入する事が出来ました !
その後は愛ちゃんの生理(繁殖シーズン)が来るまで、業者に保管しておいてもらいました。

そしていよいよ待ちに待った生理が来ました ! それもFCI大阪インター遠征していた帰り道に !
大阪まで同行していた愛ちゃん、ホントに親孝行な娘で感謝しています♥
交配に向けて本格的に動き始めます !

ざっくり流れを説明すると

①冷凍精子を輸入＆保管
②シーズン開始後に採血でプロゲステロン値の測定＆排卵日の特定
③排卵日に開腹手術による人工授精

こんな感じなんですが、これが色々あって大変だったんです…。

通常の発情サイクルからすると出血後11～13日目位に排卵があるのでその日を狙って交配しますが、愛ちゃんの場合、無出血でシーズンインしていたんです、過去3回も…
今回も出血前に陰部が肥大していたので、今回もそうだろうと計算して少し早めの採血＆測定をしました。
開腹人工授精の処置をお願いするのは埼玉の動物病院。
採血の為に埼玉の病院へ行きたかったけど、育児放棄された新生児を完全哺乳していたので行けず「血清を冷凍で送って欲しい」との指示に従い、かかりつけ病院に協力してもらって送る事にしました。
採血した血液から血清だけ分離して冷凍してからの輸送で時間がかかり到着した血清からプロゲステロン値を測ってもらうと「数値が4.27ng/mlもあるので手術は明日か明後日にしたい」とのこと !
慌てて冷凍精子を保管してもらってる業者へ連絡して、翌日の発送で手配してもらいました。

そして精子が埼玉へ到着したのが12月某日。
いよいよ運命の日が来ました。

チワワなどの小型犬では内視鏡やバルーンカテーテルによる処置が不可能な為、開腹手術にて人工授精を行う必要があります。
海外で既に亡くなっている名犬の子犬が誕生しているのは、全て冷凍保存されている精子で人工授精して繁殖されているものです。
今回使用した精子のオス犬は現役の子ですが、アメリカと日本との距離があるので、冷凍精子を輸入するのが一番の方法だったのでチャレンジしてみました。
他にもメスを発情前にオス犬のもとへ送っておいて、シーズンが来たら交配してもらい、交配後に送りかえしてもらう方法もありますが、私は愛犬を手元に置いておきたかったので、精子だけを輸入する方法を選びました。

ここからは実際の写真を使って手術までの経過をご紹介します。

まずは液体窒素の入ったタンクから冷凍された精子を取り出します。
私の輸入した精子はストローではなくペレットだったので、試験管の中に丸い粒の状態で入ってます。
－196℃で管理しないとすぐに解凍されてしまい、使おうと思った時には精子が死んでた…
なんて事もあるようです。
実際にストローを取りだしたらカビだらけだった事もあったようです。
その点、ペレットは球状なので一度溶けてしまうと大きなひと固まりになってしまうので一目で確認できて便利だそうです。

この試験管みたいな中に精子が冷凍されて入っています。
それを38℃のお湯につけて解凍します。犬の体温と同じ温度に戻すと精子は復活します。

今はまだ黄色い粒(ペレット)がお湯につけられるとこうなります↓

解凍した精子を顕微鏡で確認します。
精子の活性率、奇形、活動状態、おおまかな生存数などなど。

私も実際に顕微鏡をのぞかせてもらい、元気に動くおたまじゃくし達を確認しました !
ここで愛ちゃんは処置の為、全身麻酔をかけられ、準備が整うまでの間に私は子犬のミルクを哺乳して待ちました。

冷凍精子の人工授精は、解凍した精子をお腹を開腹してから子宮の子宮体という場所に直接注射器とカテーテルを使って注入します。
子宮体に挿入したカテーテルを左右の子宮角にそれぞれ入れて精子を注入します。
子宮にはメスは入りません。

開腹して授精させる方法にかなり抵抗のあった私…。
と言うのも、愛ちゃんは出産は毎回帝王切開だったので、次回も出産は帝王切開だと思うから。
だから人工授精の為にお腹を開けて、妊娠中に傷口が空いたりしないか不安でした。
今回の人工授精では子宮は切らずにカテーテルの挿入で処置されたので、妊娠～出産への影響はないとの事でした。
それでもチワワ業界、少なくとも私の知る人たちの間では前例のない交配だったので、誰にも相談できず、本当に悩みました。

国が違えば「普通」が違うもので。
今回の精子の輸入にあたり、問題になったのが精子の量でした。
アメリカ国内で通常流通している精子の量は「繁殖一回分」です。
チワワだと精子数5000個程度。
この量だと人工授精でも妊娠は期待できないでしょう…と言う大学病院の先生もいらっしゃいました。

私の考えていた精子数は一回の射精全量分が冷凍されて送られて来ると思ってました。
だって自然交配と同じだけの交配料を払っていたのですから !
けれど送られてきたのは繁殖一回分。全量の1/3程度の量でした。
この事で少しトラブル気味に…。
けれど米国内ではこの量で普通に妊娠出産しているようで、何も問題はない、とエージェントからの回答。
ただし、この程度の精子数だと開腹手術しないと妊娠出来ない量。
解凍しただけのチルド精子を開腹しないで人工授精しようと思ってたから愕然としました…。

さらに精子は冷凍されているので、解凍して100%復活するわけではなく、活性率がどの程度あるのかという事も問題点。
今回の輸入した精子は4,800個の精子数で活性率が64%なので実質3,072個の精子が生存している計算。
この程度の精子数ではチルドではまず妊娠出来ないでしょうね…。
開腹手術しても妊娠の可能性は高くないと思いながらも挑戦した2011年の冬でした。

確認しておいた方がいい事がいつくかあるので箇条書きにしておきます。
参考にしてみて下さい。

①冷凍精子を使って人工授精をするにの、開腹手術で処置するのか、チルドでするのか決める
②精子が冷凍保存してあるのか、これから採取＆冷凍されるものなのか
③繁殖一回分ではなく、全量を冷凍できるか、または送ってもらえるのか>
これは受胎率とお腹に入る子犬の数に大きく影響するので大切なポイントです ! !
④不受胎の場合の補償はあるのか
⑤処置をお願いしようとしている病院が開腹又はチルド授精のどちらに対応可能なのか>
**大学病院などによっては開腹処置での人工授精は取り扱わない所もありますので、事前の確認が必須です
⑥送ってもらう精子数と活性率

最低でも以上の６個だけは事前に確認しておいた方が良いと思います。

その後、愛ちゃんはどうなったかと言うと……。
じゃ～ん !!

見事ご懐妊できました(*^^*)v ! !

JKC発行の血統書には人工と言う事で登録番号の前のアルファベットに「AI」(エーアイ)と付くようです。
愛ちゃんの子供にAI(あい)って付くのね～(笑)

その後、交配から59日後の夜、体温が36.7℃までさがったので帝王切開にて出産となりました☆
そして待望の三頭の子犬が元気に誕生しました～♪この子たちとドッグショーのリングを走り回る日が今から楽しみです(*^o^*)!!

参考までに冷凍精子の購入から出産までにかかる費用はこんな感じです。

・精子代金　$1,000
・外国送金手数料　￥8,000
・精子輸入とUSDAなどの代行代金　￥280,000　特別価格でしたので普通はもっとかかります
・精子保管料　￥10,000～20,000
・精子輸送料　￥18,000
・人工授精　￥130,000
・オス犬の冷凍精子DNA検査費用　￥7,500
・エコー検診　＆　レントゲン撮影　￥10,000
・帝王切開　￥60,000
・産まれた子犬の全頭をDNA登録(検査)と1胎子登録費用　￥40,000～

えらいお金かけて子犬作っちゃった…末恐ろしい事やっちゃったもんだ＼(~o~)／